スース・ラロッシュのエキゾティックな魅力を探る

エジプトとフランスの血を引くアーティスト、スース・ラロッシュ。感情と無意味さを探究するそのアナログな写真および映像作品は、作家自身と同様に神秘的雰囲気に満ち、謎めいている。

ロンドンで生まれ育ち、エジプト人とフランス人の祖先を持つスース・ラロッシュ(Susu Laroche)は、スチールケースに入った父親のフィルムカメラを発見したあと、デジタル技術に別れを告げ、アナログの信者となった。さらにセントラル・セント・マーチンズでファインアートを学んでからは、その興味を映像にも向けるようになったという。美しさの中に不吉さをはらむその作品は、カルト的儀式や忘れがたい人々がスースの想像上の世界に影を落とす古代の王国を表出している。作家のJ・G・バラードやジョルジュ・バタイユ、写真家のライナー・ヴェルナー・ファスビンダーなどに影響を受けながら、スースは、オーソドックスなものへの反抗や、自分の周りの世界でもてはやされる因習や献身への拒絶を暗示させる作品を生み出し続けているのだ。

「〈Chaos Lure Us Chaos Rule Us(混沌は我々を魅了し、支配する)〉は私の名前のアナグラムよ。だからきっと運命なのね。この言葉はどこに行っても私を追いかけてくるの。アナログカメラで撮った写真や、エゴに対峙する映画を撮影することに勝るものはほとんどないわ。そこでは、絶対自分の思い通りにはならない。それを知った上で作業しなきゃいけないってわけ。絶え間ない妨害工作のような気がするときもあるけど、ワクワクするのよね」。

「長いあいだ、屋根裏のアトリエ兼暗室で作業していたの。でも立ち退き命令が出て、あの病的な興奮状態に終わりが来たわ。アスベストと化学薬品の結晶だらけだったのよ。私、引き伸ばし機用のタイマーを持ってないから、写真を1枚引き伸ばすたびに、心のままに歌いながら大声で数を数えてたの。今は沈没しかけてる元足場工場にいるわ。周りにあるのは、ネズミと廃車と牧草地。冒険心をかき立てるために、その辺りや、目的地を決めて写真に撮ってるのよ」。

「つくり出したのは、メンフィスという場所にある見せかけと真実の間のぼやけた境界線。メンフィスっていうのは、古代エジプトの首都でもあり、テネシー州のメンフィスでもある。このふたつの都市が文化的に衝突した1066年の昼夜平分時に、すべてが起こったの。聖戦なき封建主義の時代ね。『真実は何もない、すべてが許される』(11世紀にイスラムのカルト教団を率いたハサン・サッバーフの言葉)が合言葉よ」。

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