価値観を覆す、デザイナー中里周子の瞳に映るエレガンス

ファッションとアートの両軸から、その独特の感性で次々とセンセーショナルな作品を生み続ける中里周子。ファッションデザイナー、アートディレクターやビジュアルデザイナーとしても活躍の場を広げている。

1

次の次元

まだ公開前のものだが、LA在住のフィルムディレクターDana Boulosとのコラボレーション映像のワンシーン。ライトディレクションはフェスティバルデザイナー/建築家/照明家の遠藤治郎さんが担当。日々、様々な方達と作品を作っており、Danaとの撮影は13時間にも及んだが、とても素晴らしい出来になったと思う。懐古的なものと未来的なものとの胡散臭さが漂うマリアージュが起きている。

2

浮遊する桃

基本的にどの瞬間も自分の感性を揺さぶるものには飛びつくようにしている。

でもそれはただ美しいというものだけでなく、価値観を覆すような瞬間のことでもある。そしてその中でも自分にとって重要なのは、一貫して「エレガンス」であること。それは、デパートの美術商のようにどこか独自の時間軸を持ち、なぜかくすっと笑ってしまうような「ぬけ感」を持ったものを指す。(自分の博士論文の研究テーマにもしている。)本年度は「エレガンスなリゾート」を提案するため、そのリサーチも兼ねて日々アイフォンで記錄を撮っている。この写真は、アトランタ空港で買ったお土産のキーホルダー。いわゆるエレガンスとはほど遠いものかもしれないが、「お土産」が記憶を「無限(∞)」に留めることのできる装置なのであればある意味で「エレガンス」にも近づいたものであると考えている。キーホルダーの閉じ込められた液体は(割れることがなければ)ほぼ永久にそのままの形態を残すわけで、時空を超えた次元でもあって、でも浮いているのが2つの可愛らしいピーチであるという「ぬけ感」的組み合わせに心が震えた。自分も作りたい。

3

象徴的な質感

こちらは現在文化庁長官である宮田亮平さんの作品。宮田さんの作品はイルカのモチーフがとても有名であり、もともと大変好きであったが、初期にもとても素晴らしい作品を生み出している。抽象的なフォルムや質感は歴史的に見ても多くの美術作品に用いられているが、近頃はそれこそが時間軸を超える何かを感じさせるような気がしてならない。こちらも自分のリゾートコレクションに組み込んできいきたいと思った。

4

知性とパン

自分の職業上、何をどう見せるか、その「見せ方」を常に追求している。これは大阪万博公園の中に位置している国立民族学博物館の中の写真。パンを立体的に見せている。「知性の無駄遣い」とも言え、非常にエレガンスを感じた。すべてがぬかりない。真似したい美意識と姿勢。

5

所有欲

これは千葉県鋸南町の「道の駅 保田小学校」のカフェで撮った一枚。ところ狭しと並べられたペンギン(肉まんとあんまん)の愛らしさに脱帽。あまりの可愛さに買う勇気はなかった。もはや説明はいらないだろう。

中里周子

2011年立教大学文学部文芸思想専修総代卒業。2011年より「ここのがっこう」にてファションデザインを学ぶ。2012年東京藝術大学大学院美術学部芸術学科美術教育専攻に入学、2014年卒業後現在同学博士課程在籍中。2014年アートフェア東京にて美術手帖賞、欧州ITS(インターナショナル・タレント・サポート)にて日本人初ジュエリー部門グランプリ・スワロ フスキーアワード、アートワーク部門ファイナリスト選出。2015年平山郁夫文化芸術賞受賞。2014年よりNORIKONAKAZATOを始める。

http://norikoniko.tumblr.com

Photo Camila Montoya

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